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仕事と私、どっちが大切なの?

”仕事と私、どっちが大切なの?”

「正面切った、いちばん答えにくい問いである。

だが、森田一尉は何のためらいもなく即座に、
仕事、と答えている。

おまけにこう言い切っている。

「家族より部下が大切だし、部下より国民が大切だ」

自衛隊の最強部隊と言われる空挺団の一員となり、
将校として部下の命を預かった時点から、
自分の命も、国に、国民に捧げている。

だから何があっても、覚悟はしておくようにー。

これも妻に真顔に言うのである。いや、言うだけではない。
いつ死んでもいいようにとの自らの覚悟を新たにするつもりでも、

森田一尉は三ヶ月に一度、妻に宛てた遺書をしたためている。

そして、自分がいなくなったあとの覚悟を迫るのは
妻に対してだけではなかった。

小学校にも上がっていない、まだ五つの長女を前に
森田一尉はこう言う。

「おとうさんは、いつかいなくなるかもしれないから」

父親の突然の宣言に、

娘は「帰ってこないのはいやだ」と泣きじゃくる。

だが、森田一尉は、
ごめん、ごめん、とあやしたりはしない。

「おとうさんが死んで帰ってこなくても、おかあちゃんを
ちゃんと助けて生きていくんだよ」

最初のうちは泣きじゃくるばかりだった娘も、
最近では森田一尉の言うことがおぼろげながら
理解できるようになってきたのか、

泣きはらした顔に、何か思い定めたような表情が
あらわれるようになったという。

そんな長女とのやりとりは、福島への出発を
中でも繰り返された。

さんざん泣きじゃくったあと、しばらくして、
娘は父を、しんとした静かな眼差しでみつめるのである。

出発の朝、森田家では毎朝欠かしたことのない
「儀式」がいつものようにとり行われた。

妻と五歳の長女、

それにふだんは森田一尉にまとわりついて離れない
二歳の次女の三人が、揃って玄関先で森田一尉を
見送るのである。

これが最後になってもいいように、、、。」

3月11日の東日本大震災での救助活動、
遺体捜索、そして原発対処。

自衛隊の方々の活動と心境をリアルに描いた
ノンフィクション著書、

『兵士は起つ』杉山隆夫 新潮社
http://www.amazon.co.jp/兵士は起つ-自衛隊史上最大の作戦-杉山-隆男/dp/4104062057

の一節だ。

この国の平和や、安全を、
命がけで、家族を犠牲にして守ってくれている人がいる。

読み終えて、ただ、ただ頭を下げるしかなかった。

もうすぐまた3月11日がやってくる。

被災地に行くたびに耳にした、
被災者の方々からの言葉が思い出される。

「震災のことを忘れないでほしい」

「大勢の人が死んだということを忘れないでほしい」

「ここで見たもの、嗅いだニオイ、感じたこを
一人でも多くの人に語り継いで欲しい」

思い出して、暗い気持ちになって
落ち込む必要はない。

ただ、決して忘れてはいけない。

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