一問一答

自分の大切な人の不安を理解し、寄り添う方法

【相談者:20代女性】こんにちは、現在海外で働く29歳です。今回ご相談したいのは、”宗教観(世界の捉え方)の違い”をどのように受け止め、共に生きていったら良いか。という内容です。

現在私はドイツ人の彼(25歳)とオーストリアに二年間一緒に住んでいます。私は26歳まで日本で過ごし、留学を経て、現在はオーストリアで働いています。彼とは偶然日本で出会い、留学先での交際を経て現在一緒に暮らしています。彼は、現在特定の宗教はないのですが一神教です。つまり、この世は神が創造したものである、という考え方です。つい最近までユダヤ教の教えに影響を受けていました。ユダヤ教は100%真実であると信じ、ユダヤの教えを守ることが人生の目的の様になっていたことがありました。この半年は価値観の違いにより喧嘩が絶えず、別れを考えたこともありました。

例えば、私の仕事は歌手で、教会で歌うことも度々あるのですが、ユダヤ教の考えだと偶像崇拝は禁止なので私に教会にはいって欲しくない、という考え方をもっていたり、物事の捉え方がすべて”神の示した道”と考えているように思います。(ちなみにユダヤ教にはまり出したのは一年前、それまではほぼ宗教には無関心だった、といっています。ドイツ人なのでユダヤ人にはなれません。)

つい最近、突然彼が、自分は間違っていた、ユダヤ教が100%真実とは考えられなくなってきている、と言われ、あぁやっと柔軟な考えになってくれたのかと思ったのですが、彼の”この世は神が創造したのか”、の追求は相変わらず止まらず、いつまた何にはまってもおかしくはない状況だと感じ不安を覚えています。私は、もちろんこの世の物がすべて目に見えるものだけで作られているとは思っていないし、神を否定する考えはないのですが、日本の仏教、神道、儒教などの教えを受け育ってきた私にとってはとても極端な考え方に思えるのです。私は宗教や神の存在は、あくまでこの世を豊かにするためのものだと考えているので、神の存在が真実であるかを突き詰めることが本当に意味のあることなのかと疑問を感じています。

私が彼と話していて分かったのは、彼は自分の家庭に、多少のコンプレックスはあり、両親は別居状態。父親と母親にはそれぞれ新しい恋人がいる、しかし彼の父は会社を経営しており、彼もオーストリアで仕事をしつつ一緒に会社を手伝っている状態で、”正しく生きたい””自分の生きている意味をはっきりさせたい”、という想いが強すぎてこうなってしまっている気がします。彼とはもちろん結婚を考えていますが、このような彼の考え方をどのように受け止めていったら良いのか 悩んでいます。和尚様という立場から、何かアドバイス頂けたら嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。

迷いがそのまま悟りである

仏教の教えに「生死即涅槃(しょうじそくねはん)」というものがあります。「生死」とは、生き死ににまつわる人間の迷いのこと。「涅槃」とは、心の完全なる平安のことです。つまり「生死即涅槃」とは、迷いがそのまま悟りであることを表しています。

ドイツ人の彼は迷っています。自分はどうやって生きていったらいいのか。そして、どういう教えを信じたらいいのかが、彼には分からないのです。しかし、迷っていること自体は決して悪いことではありません。心の平安のために、大切なきっかけになるはずです。

人間が不安や迷いを持つときの、根本的な原因

ご質問の最後に、「彼は自分の家庭にコンプレックスがある」と書いてありました。彼のご両親は別居状態であり、それぞれに新しい恋人がいます。おそらく彼の迷いの原因は、ご両親の問題に関係している部分もあることでしょう。

人間が迷いを持つとき、不安なときは、その背景にもっと大きな問題があるものです。たとえば誰かがカーッと怒っているとき、その怒りの発端はささいなことかもしれませんが、そのことよりももっと前の段階で、自分をイライラさせたり、不安定にさせるような出来事があるのです。これが、不安や迷いのメカニズムです。

彼は、もっと生活レベルに根ざした部分で、生きることを脅かすような不安を持っています。それが宗教への向き合い方として表面化しているのです。不安定さゆえに、その答えを宗教に求めようとする。そんな彼の傍にいる相談者さんの苦しみを想像しながら、この問題を考えていきましょう。

まずは寄り添う気持ちをもつ

今後、彼と添い遂げるつもりがあるのであれば、彼の迷いに寄り添ってあげることが大切です。彼の宗教観というよりも、彼の人生の迷いに向き合うことです。彼が心のなかで抱えているものをすべて踏まえたうえで、寄り添ってあげてください。

宗教に迷っているということは、自分の生き方など、人間の中心が揺らいでいる証拠です。神というものは、人間の深い深層心理の表れであり、抱えている不安の象徴です。
彼を揺るがしているのは、おそらく家庭の問題です。ご両親の不安定な関係において、彼は絶対的な安心をご両親に寄せることができなかったのでしょう。ご両親からの愛にとってかわって、大いなるものにすがりたくなった。その先にあったものが、彼にとっての神であったはずです。相談者さんにできること。それは、彼のなかでの人間としての中心の揺らぎに寄り添ってあげることです。

「宗教」ではなく「心」の問題

では具体的な方法として、彼にどう寄り添えばいいのでしょうか?今回の相談者さんの場合、彼が興味を持ったものについて聞いてあげると良いでしょう。根本的に興味を持てなくても、たとえば彼の宗教への思いや考え方を聞いてあげてみてください。

「どういう教えなの?」と質問をしてあげましょう。あからさまに否定してはいけません。相談者さんが、もっと高い視点で、彼のなかに大いなる不安があることを見据えたうえで、広い心持ちになって寄り添うことです。

もし「教会で歌うな」と言われたら、「私は仕事として、そこに歌いに行っているの。信仰にハマっているわけじゃないから安心して」と彼に言ってあげてください。「大丈夫だから」と常に言い続けることで彼も安心します。

今回の問題は彼自身を助けると同時に、相談者さんにとっても、今向き合うべき大きな課題であると言えます。人間である以上、長い人生のどこかで自分の中心となる考え方に向き合うべきときが来ます。その答えを見つける過程で、人間が少しずつ成長するのです。宗教の問題ではなく、心の奥底にある問題としてとらえてください。

問題を乗り越え、結びつきを深める

世界中のさまざまな宗教を見ていくと、みんなが幸せを目指して信仰をしています。現代はグローバル社会です。肌の色、言葉、考え方、そして宗教の壁を乗り越えていかなければいけません。その際に、「相手を理解しなければいけない」という前提を持ってください。
今回の相談者さんも、彼に寄り添うと決めたのであれば、ふたりの間で起こる衝突に向き合っていくことです。それを乗り越えていくことによって、より深い結つきを得ることができるでしょう。

ドイツ人の彼の人生の問題は、相談者さんにとっての人生の問題です。つらいでしょうけれど、しっかりと寄り添ってください。応援しています。

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